圭介持参の硯のこと   





 大鳥が清国公使、朝鮮公使を勤めている時、日清戦争が日本の勝利で終わり、講和条約が下関で行われた時、清国の李鴻章とともに大鳥圭介が署名した硯である。
 大きさは縦27センチ、横12センチ、高さ6センチ。
 材質は赤間ヶ石、自然石に硯の庭が彫ってある。質は非常に固い。私が物心ついた頃、栗の板で作った箱に入れて仏壇の横に置いてあった。私の成人した頃、恐る恐るこの箱を出して見たら朽ちてしまってバラバラに壊れてしまった。そこで山から樟(くすのき)の木を伐ってきて板にして箱を指物大工に造ってもらい、その中に硯を入れて保管している。
 私は青年の頃から郷里の遠縁に当たる金沢寛「号錦秋」
先生に就いて書道の勉強をした。後に阪神書道会に入会して
師範位をもらって、今も生徒に書道を教えている。
 毎年、正月には圭介ゆかりのこの硯を取り出し、元旦試筆をしている。(左下 号百穂)
 圭介は漢詩や和歌に堪能であった。その行跡を偲びつつ。
     
 
随筆 「追憶の岩木道」    吉田 實
    かみごおり民報平成18年4月20日号より 

追伸  この度、吉田氏が大切にしておられる硯を私のHP      に載せさせて頂く許可を頂きました。ありがとうござい     ます。