広報かみごおり2003.7月号No404平成15年7月15日発行より抜粋 この随筆に感激、出会いに感謝します。
書名は『堰堤(えんてい)築法新按全』、訳者は大鳥圭介、東京碧雲茗圃刊行と記されており、明治15年(1882)4月発行となっています。刊行されたものは290頁、原書は米国「ゼイ・レッフェル社刊行」となっており、原著者の記名はありません。
 大鳥は翻訳の動機と意図について次のように述べています。
1、工業にとって重要なものは「原力」である。
2、原力には人力・畜力・水力・汽力があるが、その力量と費用の観点からは水力に
  注目すべきである。
3、米国の実状を見ると、「版図拡大」であるが、「山岳秀で河流多」い「東辺の州都
  及び其西彊の地方」では各所に「便宜の堰堤を築き、水車を運転せしめ、以っ
  て百般の工業を営」み、その光景は「実に壮大」である。
4、これに対して日本人は、よく水利用に励んできているが、「唯惜しむらくは・河流
  堰堤の築法皆旧来の慣習に沿ふて粗笨拙劣、更に改良を加ふるもなし」という
  現状で、「一朝霖雨洪水の来るに遇えば忽(たちまち)決潰流失し、年々損害を
  蒙むるもの枚挙に遑(いとま)あらず」、「余(注、大鳥)嘗(かつ)て各地を巡歴し
  毎(つね)に親く之を目撃して国の為に憂慮するも久し」くしてきている。
5、このような時に出会ったこの一書は、米国「各州に於て現存する土木の実践を
  類聚」すると共に、河川堰堤の築法方式とそれを規定した川底地質や材料にま     で言及している「宝書」である。
 以上5点を上げた大鳥は、この「宝書」を「本務の間を愉(たのし)み、之を訳し、
以って世 に問はむ」としたのであると述懐しています。
 
工部省時代の約8年間をかけて翻訳し、出版された同書の巻頭には、旧知の勝海舟・伊藤博文が序文を寄せて労をねぎらっています。
 大鳥の脳裡には、故郷の千種川、岩木谷の様々な光景や井堰(いせき)や水車の風景が浮かんでいたにちがいないと思います。
 
 2004年の台風で圭介生家の下を流れる岩木川は、大洪水で道が削られ、圭介生家の石崖も危ういとこでした。
 今こそ、この広報かみごおりを載せるチャンス!大鳥圭介の先見の明と知力・実行力!に感無量!圭介さんを
 タイムマシンで甦らせたい。