明治7年3月帰国した圭介は、外国滞在中の研究、翻訳のまとめに着手、黒田に報告した。
日本の近代化にとって最も基礎的な産業である対象は何か、資源は何か、を適確に把握し、明解な文章で、しかも理解し易く書いているのは、圭介の人柄とも言えよう。
「大鳥圭介報文石炭編」の序文(原文古文体)
資料提供(HP天下大変)様
 工業を開くのに、方法は千差万別だが、基本となり、人に利益を与えるものといえば石炭、鉄、油の3品である。石炭ない時は蒸気車を走らせることなく蒸気船も動かせない。鉄がない時は文明国に必要な大小幾千万の機械家屋家財を作れない。油ない時は、右の器械を動かすことも屋内の灯りもない。わが国では最近外国と交わりを持つようになったが、炉に薪を燃し、火鉢に木炭を盛り上げ、家屋、橋はもちろん、家財も木で作り、市中の街頭に明かりはなく、屋内の行灯には臭い油を燃して足れりとする人が多い。鉄を金銀より卑しいものと考え、石炭を船にのみ用い、山油を製して清い油やローソクを作ることを知らない。
 私は昨年一昨年春、公用で米国へ渡り更に英国にて多くの工芸品を見てきた。(中略)我が国でも南部に鋳鉄、越後の山油、石炭は各地に採れる。これを掘り、製するのに海外の技術を使うべきである。
上記は、古賀志郎著 「大鳥圭介」より抜粋